○○が体にいいと聞いて試してみても、続かない。
一体どんなものが体にはいいんだろう?
と考えてしまう人はおそらく、食に関心が高いんだと思います。
私も幼いころからアトピー性皮膚炎になり、生理痛もひどかったから、体にいいという料理をいろいろ学び、体にいいといわれる食べ物にも手を出したりしました。
そのうえで感じるのは、なにを食べるかよりも、どう食べるかのほうが大事だということ。
そんな考えに至った私の体験について、お話します。
新しい料理との出会い
私は幼いころからアトピー性皮膚炎にかかり、大人になってからもなかなか治らないつらい時期を過ごしてきました。
そこで今までのように薬に頼るのでなく、食で治したい!
と思っていたときに出会ったのが、玄米菜食のマクロビオティック。
私が学んだ先生は、マクロビとイタリアンをかけ合わせたオシャレでおいしい料理を提案されていて、新たな食の世界が楽しく、ワクワクしましたね。
やがてアトピーの症状がおさまり、ステロイド剤を使わなくなり、ますます玄米菜食にハマっていきました。
信じていた価値観の崩壊
その後先生の紹介で山梨にある企業のオーガニックレストランに就職。
社食やおもてなしメニューに関わり、やりがいある充実した日々でした。
ところが一年経ったころ、人間関係でのストレスからいきなり、おさまっていたアトピーが暴発して全身に湿疹が出て、
かゆくてたまらず、とても辛かったのを今でも覚えています。
食養生の入院をして漢方薬も飲み、症状は落ち着いたのですが。
マクロビで治って、毎日こだわった料理も食べているのに、どうしてまた?!
と信じて続けてきた食生活に初めて疑問を持ちました。
日本のマザーテレサに会いに行く
先が見えなくなり苦しい時にふと思い出したのが、ドキュメンタリー映画で観た佐藤初女さんのお料理でした。
初女さんがつくる季節ごとのお料理は、どれもが光輝いていました。
のちに本も読み、青森で暮らしながら悩みを抱える人が初女のもとを訪れると、じっと話に耳を傾け、手ずからお料理を出して癒す活動をされていると知り。
私も会いに行きたい!と強く思いました。
すると運良く、当時住んでいた山梨で行われるフードプログラムで、初女さんがゲスト講師でやってくると知って即申込みました。
自らていねいにをしめす
3日間のプログラムのうち、初女さんから家庭料理を習う時間があり、私はリンゴ煮をつくる班になりました。
まずりんごの皮をむきくし形に切って、次の指示を待っていました。
私たちの班にやってきた初女さんは、切ったリンゴをじっと見て、いくつかのリンゴを取り出し切り直していったんです。
その様子を見て、私たちはハッと気が付きました!
そうか、形がそろっていないんだと。
あわててやり直しますと声を出し、切り直したリンゴを煮ていきました。
このように間違いをただ指摘するのでなく、自らが手本となって示す。
そんなやさしさと厳しさがある方でした。
ともに料理をし、心がつながる。
参加者は全国各地から初女さんに憧れて集まった人たち。
それぞれに事情や悩みを抱えていて、時には涙を流す人もいました。
私たちは朝ごはんを交代でつくったり、一緒に味噌づくりをしたりと、お料理という共同作業を通して自然に心がほぐれ、お互いに寄り添い、皆温かな笑顔がこぼれるようになりました。
クリスマスシーズンだったので、最後の晩はクリスマスパーティーメニューを一から自分たちで考え、作られたお料理がずらりと並びました。
そのテーブルはピカピカに輝き、どれもが本当においしくて。
心が満たされる人がつくる食卓はこんなにすごいパワーがあるのかと、
オーガニックやマクロビといった今までのこだわりがストンと抜け落ちていきました。
正しさから開放され、元気になる。
帰り道、いつも行くおいしいカフェに寄ったら、
オーナーさんに
「今日はどうしたの?!顔色がすごく良くてピカピカしているよ!!!」
と驚かれました。
いつも疲れきっていた私を心配してくれていたんだなあと感謝しながら、本当にこの三日間で自分が生まれ変わったことを改めて実感しました。
目の前の食材に感謝して、ていねいに心をこめて料理すれば、
体も心もおいしさに満たされる。
もうマクロビやオーガニックにこだわる必要はないんだ!
と吹っ切れて、翌年オーガニックレストランを退職しました。
さいごに
食で救われ、食で絶望し、また救われて。
この時の体験が私にとって大きな転機となり、もっと自由に、楽しんでいいんだと感じるようになりました。
その原点は今も変わりません。
その後どんな変化があったのか?は別の機会にお話しますね。
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